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雑記帖 No.198

ふーどばんくOSAKA(1)

「醤油を貸し借りする延長」

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2017年の年末から「子ども食堂」の取材を重ねる中で、その存在を知ったのが「ふーどばんくOSAKA」でした。もちろん「フードバンク」という存在はTVなどで知っていましたが、取材で出会う前の「子ども食堂」がそうだったように、どこかTVの向こうの存在のような気がしていました。
すると偶然、堺区の「にしのこ☺まんぷく食堂」を取材していた際に出会った「フードバンクOSAKA」のスタッフ井上博幹さんから、「ふーどばんくOSAKA」が多くの「子ども食堂」を支援しており、事務所が堺にあることを教えてもらったのです。
これはつーる・ど・堺で取り上げないわけにはいかないでしょう。そんなわけで、東区八下町にある「認定NPO法人ふーどばんくOSAKA」を訪ねました。


■個人個人の思いからスタート

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▲「ふーどばんくOSAKA」の事務局長田原俊雄さん。


「ふーどばんくOSAKA」の事務所で、お会いすることが出来たのは事務局長の田原俊雄さんです。
まず「ふーどばんくOSAKA」設立の経緯から。
「最初は理事長の赤井(隆史)が、栃木でのフードバンク活動の講演を聞いたのがきっかけです。大阪でも困窮支援を必要とされている方は多い。なんとか大阪でも出来ないかと私もプロジェクトチームに参加し、2013年の設立までの準備期間に立ち上げにかかわりました。設立後は、別の仕事をしていたのですが、1年後に、ふーどばんくOSAKAの業務内容も固まってきたから戻ってこいと理事長から再び話を頂きました。個人的にももともと何かの形で携わりたいと思っていたので、引き受けることにしたのです」

田原さんの個人的な動機は、隣近所が身近な存在だった子ども時代に遡ります。
「私が育った地域にも困窮者は多かった。でも、近所のおばちゃんが食事を作ってくれたり、醤油の貸し借りをしたりしていました。この仕事をするのはその延長ですね。自分に出来ることを何かしたいというのもありました」
行政期間や大きな組織が社会福祉を目的として設立したといったものではなく、ご近所同士の助け合いの延長にある個人個人の思いが重なって大阪のフードバンク活動は産声をあげたのです。

2013年4月、「ふーどばんくOSAKA」は、大阪食品流通センター内でテナントとして事務所を借りて始動します。
「「ふーどばんくOSAKA」の仕事は、食品を購入しての活動ではありません。賞味期限内だけど販売しないことにした商品などを引き取ってお預かりし、支援を必要としている方のもとへ届ける仕事です。お届けする先は、最初は施設からスタートしました。児童養護施設や母子支援施設、障がい者の作業所、ホームレス支援の団体などと契約するようになりました」
こうして「ふーどばんくOSAKA」は第一歩を踏み出しましたが、社会貢献の意識が決して高いとはいえない日本でフードバンクを運営していくのは並大抵のことではありません。


■日本フードバンク連盟に加盟

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▲この日も事務所にはひっきりなしに電話がかかってきていました。


日本におけるフードバンクの全国組織としては、日本フードバンク連盟と、全国フードバンク推進協議会の2団体があります。
「ふーどばんくOSAKA」は、このうち日本フードバンク連盟への加盟を目指しました。この日本フードバンク連盟への加盟は法人として2年間のフードバンク活動の実績を積むなどの6つの加盟条件があります。
「日本フードバンク連盟は組織として自立してやっていける所が加盟できるのです。実際立ち上げの時点が一番しんどい。全国フードバンク推進協議会さんの方は、2年の縛りはなかったのではないかと思います」

日本フードバンク連盟の起源をたどると2002年に日本で初めて法人化されたフードバンクであるセカンドハーベスト・ジャパンです。2012年には全国ネットワーク組織として別法人の一般財団法人セカンドハーベスト・ジャパン・アライアンス(アライアン=同盟)を立ち上げ、2014年にはフードバンクガイドラインを作り、2017年には公益財団法人日本フードバンク連盟へと発展します。

立ち上げ当初は「ふーどばんくOSAKA」も、食品の取扱量もそれほどでもなかったそうです。
「しかし2014年ぐらいにメディアでフードバンク事業が良く取り上げられるようになりました。「ふーどばんくOSAKA」も夕方のニュースで取り上げられて、個人や企業からも問い合わせがくるようになりました。ボランティアの問合せももらいました」
こうしてしだいに支援者・支援法人、契約団体を増やした「ふーどばんくOSAKA」は、セカンドハーベスト・ジャパン・アライアンス時代の2016年に監査を通過して、認証団体となります。


■フードバンクを支援する人々、フードバンクが支援する人々

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▲事務所内に提供された食品が多く保管されています。


では、どんな企業が「ふーどばんくOSAKA」を応援しているのでしょうか。
「食品を製造されている企業さんもありますし、建築会社や保険会社など多岐に渡ります。こうした企業にも防災備蓄品が保管されています。これら防災備蓄品が、期限切れになる前に提供してもらいます。企業だけでなく、堺市、大阪府、大阪市とも協定を結んでもらって、市民の防災に活用されてからですが、防災備蓄品を提供してもらっています」
地元の堺市の企業もあるのでしょうか。
「もちろんです。伝統ある食品関係の会社もありますし、全国展開していて誰もが知っている大きな企業もあります」

様々な企業から提供される食品は、2017年度で200トンにもなりました。しかし、問題がないわけではありません。
「食品は希望を募って、募った所へ持って行ったり、向こうから見に来ていただいて、使えるものを持って帰ってもらっています。多くの食品を預けていただけるようになりましたが、契約先それぞれのニーズに合ったものかというと、必ずしもそうではない。それは致し方のないことではありますが」
具体的に、ニーズが高い食品とはどのようなものがあるのでしょうか。
「扱っている食品の中ではパンと野菜、果物は多いです。冷凍パンなどもあります。ニーズは契約している所によって違うのですが、施設や作業所となると、どちらかというと嗜好品ですね。お菓子やジュースを臨んでいます。お米のニーズはどこでも高いです。冷凍のコロッケなどでも200個ありますよ、とか数があれば扱いやすいですね」

こうした施設と子ども食堂では、ニーズの傾向が異なるようです。
「子ども食堂は、主食となるものです。お米、冷凍のお肉、お魚。それとジュースはやはりどこでも喜ばれますね」
少しずつ契約件数が増える中で、しだいに子ども食堂も含まれるようになったそうです。
「2016年の終わりごろから子ども食堂とも契約するようになりました。現在全体で210件の契約がありますが、そのうち大阪府下の子ども食堂98か所と契約しています」
「ふーどばんくOSAKA」の契約の半数近くが子ども食堂なのですね。もちろん子ども食堂の中には、フードバンクの支援を受けずに活動している所もあるので、98件が大阪府下の子ども食堂の全てではありません。それを加味すると、ここ数年でいかに子ども食堂が増えたのかがうかがい知れます。

さて、後篇では「ふーどばんくOSAKA」が現在、そして将来のために取り組んでいる課題や事業などについて、具体的に紹介していきます。


ふーどばんくOSAKA
住所:堺市東区八下町1-122 大阪食品流通センター内
電話:072-258-2201 FAX: 072-275-7763
web:http://www.foodbank-osaka.jp/












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