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雑記帖 No.141

まちと自然をリンクするライフライン(1)

三宝水再生センター見学ツアー


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わたしたちの生活を支える数々のライフライン、電気やガスも水道も、どれも大切なものですが、目に見えなくとも忘れてはならないのが下水道です。
「食べたら、出る」。それが生き物としての宿命。その人間の集合体である生活空間を通ってきた水は、そのまま垂れ流してしまうと、とんでもないしっぺ返しを食らってしまいます。

6月初旬、大和川の河口にある「三宝水再生センター」では、「三宝あじさいまつり」が開催されていました。職員の方が大切に育てられたあじさいを見に、多くの市民が来場されています。そんな市民を対象に企画されていた「処理場見学ツアー」に参加してみました。


■下水道の役割は?
一日に2~3回行われる見学ツアー。この回の参加者は20名弱のようです。最初に職員の小西隆さんから、下水道の主な役割について解説がありました。

 
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▲ツアー見学者に展示している古いポンプについて解説する職員の小西さん。


下水道の主な役割は、
1. トイレが水洗化されること。
2. 生活環境の改善が図られること。生活排水の垂れ流しで発生した悪臭や害虫などが抑えられます。
3. 浸水から街を守ります。
4. 1と2の結果、海や川がよみがえります。
の4つです。

トイレの水洗化がすすみ、堺市では汲み取り式のトイレはほとんどなくなりました。まちを流れる川も、かつては悪臭に満ちたどぶ川だったのが、随分と様子が変わりました。

「三宝水再生センターで処理した水は、一部で再利用されています。堺浜地区にも送水され、サッカーのナショナルトレーニング施設J-GREEN堺ではグラウンドに散水されていますし、イオンモール堺鉄砲町のトイレの洗浄水にも使用されています」
いずれの利用者からも、匂いなどの苦情が来たことはありません。一体どんなシステムで汚水を処理しているのでしょうか?


■いざ処理施設内へ
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▲広く清潔な印象の施設内。床の下に汚水を処理するタンクなどが埋設されています。音も機械の稼働音がわずかにするぐらいです。


センターは中に何も入っていない巨大な物流倉庫のようでした。広いこの空間の足元に、処理をするためのタンク類が設置されているのです。
このセンターの屋内では、まったく悪臭がしません。多少は匂うものかと思っていたので、これは意外でした。悪臭対策として、沈でん池やタンクには蓋がされており、脱臭設備も設置されているからだそうです。

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▲床の蓋を開けると反応タンクで活性汚泥が渦巻いていました。


三宝水再生センターで採用されている高度処理法では、5段階の過程で下水が綺麗にされていきます。家や工場からの排水は、1段階目では「沈砂池」で大きなゴミや砂などを沈ませて取り除きます。上澄みの水は第2段階目の「最初沈でん池」に送られ、1段階目で取り除けなかった細かな汚れを沈ませて取り除きます。
ツアー一行が最初に見せてもらったのは、その先の第3段階目「反応タンク」でした。

床の蓋をあけてのぞき込むと、薄茶色の水が渦を巻いています。
これは活性汚泥とよばれる微生物のかたまりです。微生物が汚れを取りこんで分解し吸収し、汚れを沈みやすい形にして水を綺麗にするのです。水が渦をまいているのは、活性汚泥をかき混ぜて、微生物を活発に活動させるためです。

ここで小西さんからクイズが出題されました。
「反応タンクの水、1立方センチの中にどれだけの微生物がいるのでしょうか?」
という質問で、正解者にはノベルティがプレゼントされます。ツアー参加者は積極的に手をあげます。(答えを知りたい方は、ぜひツアーに参加してみてくださいね。)
わずかな水の中にも大量に存在する微生物を利用して汚水が綺麗になっていく。しかし、処理はこれで終わりではありません。

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▲活性汚泥にいる主な微生物。アメーバやクマムシといったお馴染みのもの以外にも、聞いたこともないような微生物の名前も。


反応タンクで活性汚泥とかき混られた水は、第4段階目として「最終沈でん池」でゆっくりと流されて活性汚泥が取り除かれます。
ツアーの見学者がこの沈でん池をのぞき込むと、再びクイズです。
「石津の処理場では、取り除かれた汚泥は肥料として利用されていますが、この三宝では汚泥はどうなっているのでしょうか?」
というもの。生活からでる汚れが取り除かれたとしても、それが無くなってしまうわけではありません。1日でトン単位で集められるこの泥の行方も、社会が責任をもって処理していかねばならないものなのだと気づかされました。

この後、第5段階目は、それでも沈み切らなかった活性汚泥などをせんいろ過で取り除き、目に見えない大腸菌などの細菌を、塩素を使って消毒・減菌します。こうして5段階の処理過程を終えた水を、ツアー見学者は放流口で見ることが出来ました。
2mの深さの底が見えるほどの透明度になった水が、大和川の河口から海へと放流されていました。



■下水処理が進化しても必要なものは......
ツアーの最後には各家庭でも油やごみを流さないでほしいという訴えがありました。ほんの少しの油やごみを処理するためにも、実は膨大な工程とコストがかかっているのです。下水処理が進化しても、各家庭や各人の努力は必要不可欠といえます。それは、下水処理が新たな問題にも直面しているからです。

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▲すべての処理過程を終えた透明度の高い水が、放流口から大和川河口へ流される。


昭和38年から三宝水再生センターは処理場として稼働しています。
堺では他に石津と泉北に市の施設があり、さらに大阪府の広域処理施設でも汚水の処理を行っています。
「かつては有機物は取り除けても、窒素やリンを取り除くことは難しく、青潮や赤潮のもとになったんです」
一体どのように処理場が進化していったのか、これからの課題は何か、見学ツアー終了後も小西さんから更に詳細なお話を伺うことにしました。

(後篇へつづく)


堺市上下水道局 三宝水再生センター
堺市堺区松屋大和川通4丁147番地1
電話 072-232-4958 
ファックス 072-232-4957








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