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雑記帖 No.038

小麦プロジェクト ぴんぽんパン工房

金色の小麦で大地のパンを

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▲畑仕事に完全装備の『ぴんぽんパン工房』の店主細尾美苗さん。

麦畑の間近に緑の山並みは迫り、空気が瑞々しく感じられます。
富田林の『ぴんぽんパン工房』は、野菜のみならず小麦まで栽培しているパン屋さん。梅雨を前に小麦を収穫する畑を訪ねました。


■小さな金色の野から
畑の一角には小麦が黄金の輝きをみせ、すくっと立ち並んでいます。
収穫する小麦でどれほどのパンが出来るのでしょう?
「小麦粉にして5キロぐらいでしょうか。みんなでわけるのでパンにすると1日で焼く分にもならないんです」
『ぴんぽんパン工房』のオーナー細尾美苗さんは手際よく鎌を動かし、小麦を刈っていきます。
細尾さんが女性ばかり5人の仲間と一緒に小麦を作りはじめたのは4年前のこと。

「きっかけはパン屋なのに小麦の出来方ってよく知らないね、とみんなで話していて、だったら自分たちで作ろうとなったのが始まりです」
完全に無農薬の小麦となると、市場ではまず流通していないこともあり、無農薬小麦栽培への挑戦がはじまりました。

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▲麦穂を刈る小麦プロジェクトメンバー。左は寺内町の『マメテンカフェ』の土田さん。 ▲宝塚の『lichette(リシェット)』のおぎのさん。藁を使ってフィンランドの伝統装飾『ヒンメリ』を作る予定です。

当時の細尾さんたちは、誰も農業経験がないまったくの素人でした。
「一度麦を黴(かび)させたことがあって。梅雨になる前に刈り入れないと黴びてしまうんです」
そんな失敗を経験し勉強を重ねて、この日4度目の収穫を迎えたのでした。

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▲黒黴(カビ)がつくとこんなかんじに。 ▲もみを割るとこんなカワイイ小麦の粒が出てきます。

刈った麦穂が束ねられ、畑の畝に並べられていきます。
「刈った小麦は夏いっぱい乾して乾燥させ、9月になったら脱穀して製粉します」
刈り入れだけでなく、脱穀も製粉もすべて手作業で行っており、手間も時間も随分かかります。
「でも、今年は近所の農家さんから製粉機をいただいたんですよ」

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▲刈った穂を束ねていきます。 ▲刈り終えた畑。

『ぴんぽんパン工房』では熊本産の『ミナミノカオリ』という小麦を使っているのですが、畑で栽培している品種は『春よ恋』という小麦。
「準強力粉向きの品種です」
出来上がる小麦粉の種類は製法にもよりますが、薄力粉向き強力粉向きと品種によっても違いがあります。
「無農薬の『春よ恋』で作ったパンは味が全然違います。甘くて美味しいです」
収穫した小麦でパンを焼けるのは9月。
収穫祭で大いに祝った年もありました。


■『出て欲しい』という気持ちが嬉しい
麦穂を全て刈り取ると店舗前でブレイクタイムの始まりです。
店舗として使っている小屋は北欧のログハウスを購入して自宅の庭に建てたもので、開店したのは5年前になります。
「お店を作るのは勢いでした。20代だから出来たんです」

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▲『ぴんぽんパン工房』店舗。北欧ではこんな小屋を建てて大人の遊び場にするそうです。

物を作るのが大好きだという細尾さんがパン屋を志したのは、9才の頃見たアニメ『魔女の宅急便』に出てくるパン屋さんに憧れたことからでした。
10代でパン作りをはじめ、何軒かのパン屋に勤め修業も積みました。
早朝から夜まで寝る時間もない日々を「楽しかった」と細尾さんは振り返ります。毎日パンを焼き続けて10年以上になる今も、
「毎日が勉強です。湿度や気温が同じ日はありませんから、まったく同じパンを焼くことは出来ないんです」
しかし、プロのパン屋ですから、安定した品質・味のパンを提供し続けなければなりません。
「大変ですけど、しんどいと思ったことはありません。しんどいと思ったら続けられないでしょうね」

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▲小麦プロジェクトのメンバー。話題は「オーブンの性能について」。ガスオーブンと電気オーブンの向き不向きなど。さすがパン職人のガールズトーク!

パン屋一筋の細尾さんは、多くの人に支えられてきたと言います。
「小さなパン屋です。1人じゃ何もできません」
イベント出店で顔を合わせたお客様が常連になることが多いこともあり、イベンターには感謝しています。
「奥河内オーガニックマーケットの天川さんにはいつも声をかけていただいていて」
出店の申請をする手間や合否を待つストレスが軽減されることもありますが、何よりも気にかけてもらっていることそのものが助けになっています。
「『出て欲しい』という気持ちが嬉しいんです」

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▲河内長野市の『ナボット』の垣内さんのケーキをお茶うけに ▲『マメテン』さんのまかないパン。キーマカレーとチーズの相性が良くお腹もふくれます。

この日の小麦の刈り取りには、一緒に小麦を育てる仲間5人のうち4人が集まりました。
「みんながいるから出来るんです」
5人はイベントでの出会いや、開店のアドバイスを聞きにいったことが縁で知り合ったそうです。
農業のこと、パン作りや使う調理機材のことも、相談したりアドバイスしたりして続けてきたのです。
「どうぞ食べてくださいね」
コーヒーと一緒に薦められたのは、皆が持ち寄ったパンやお菓子。仕事を離れたプライベートなことにも話の華が咲きます。
マイペースで楽しみながら取り組んでいくのが、活動を続けるコツなのでしょう。


■実りの時を迎えよう
お土産にいただいたのは『ぴんぽんパン工房』のラスク。最近はお菓子風のラスクが多い中、珍しいぐらいポリポリとした食感の素朴なラスクです。
「『ぴんぽんパン工房』で作るパンは、塩と砂糖と小麦だけを使ったシンプルなパンです。卵は使わずに、乳製品も極力使っていないんです」

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▲『ぴんぽんパン工房』のラスク。 ▲ひがわりドーナツ。180円。

最近ではアレルギーに気を遣い成分表記をしっかりしたパン屋さんも増えてきましたが、たいてい気遣った商品の割合は大きくありません。
「でも、ここでなら全部選ぶことが出来るって喜んでくださるんです」
パンに使う野菜も、全て自家栽培の無農薬野菜を使っているので、健康や食に気遣う人にとって安心安全なパンだといえるでしょう。

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▲畑でとれた無農薬野菜を使った季節のピザパン。250円。 ▲この窓からできたてのパンが届けられます。

5年目を迎えた『ぴんぽんパン工房』。これから先に目指すものはなんでしょうか?
「育てる野菜の種類もパンの種類も増やしたいですし、小麦ももっと増やしたいですね」
パンを作ることよりも、パン屋を経営するにあたって日々の選択をすることが大変だと細尾さんは語ります。新しい機材の導入からはじまって、新作作りやその日の水加減に至るまで「選択」は日々迫ってきます。
「やるのは簡単だけど、続けるのは難しいと思います。どれだけ長く続けられるかが課題ですね」

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▲物干し台で小麦を乾かします。 ▲店舗前のスペース。収穫祭には賑やかに。

『ぴんぽんパン工房』を囲む緑の庭の一角の物干し竿に刈り取ったばかりの麦穂を架けていきます。
秋までの長い時間、この場所で乾かしていくのです。
以前の収穫祭では、常連のお客様達が飼い犬を連れて来たりしてドッグフェスティバルを思わせる賑やかさだったとか。
「今年も収穫祭をしましょうよ」
細尾さんが仲間に語りかけています。
1年に一度だけ収穫祭に焼かれる『ぴんぽんパン工房』のパン。味わってみたいですね。

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▲刈り終えた麦と細尾さん。小麦を育てたい生産者の方がいればお声をおかけください。

ぴんぽんパン工房
場所: 大阪府富田林市西板持3-10-9
電話: 090-9161-7476

小麦プロジェクトメンバー 
宝塚の lichette さん http://lichette.exblog.jp 
大阪狭山市 mintarotie さん http://mintarotie.exblog.jp/
富田林 マメテンさん http://blog.goo.ne.jp/mame-ten-cafe 
河内長野 ナボットさん http://nabote2009.exblog.jp

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