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雑記帖 No.008

ホウユウ株式会社(印刷)

- しなやかに たくましく - 女社長率いる 「町の印刷屋さん」

【七道特集・ものづくり編】

印刷屋さんといっても、会社によって仕事の中身はイロイロ。
ホウユウは創業時から「モノクロ(白黒)」「文字もの」が得意な会社です。
年度末の追い込みで大忙しの3月、潜入取材をしてきました!

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■田中範子社長

ホウユウが創業時から主に行っているのは「文字を扱う仕事」。本の制作を例に挙げれば、入力・組版(レイアウト)から印刷・製本に至るまで。同社はその一連の工程を一括管理しています。

「うちの特徴はオフィス用のパソコン(以下PC)データを扱っていることですね」と田中社長。

印刷業界の主流がiPod等でおなじみApple社のマッキントッシュ(以下マック)というどちらかといえばプロ仕様のPCを使っているのに対し、一般に多く使用されているのはWordやExcelなどのオフィス製品が入ったウインドウズPC。
もしデータをウインドウズからマックに変換するとしたら?
「例えば外国語なら打ち直し、数式なら新たに組み換えという余分な作業が発生するので、組版コストが高くなります。」
「最近のお客さまはご自分で作成したデータを持ち込まれることが多いのですが、うちでは頂いたデータをそのまま活かすことができるんです。」
しかも「この業界は時間がかかるほどお金がかかる」ので、いかに手間を省くかが重要。
ウインドウズデータを扱うことで「速く・安く・正確に」を実現。それが同社の大きな強みになっています。

《原稿から印刷物への流れ》

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1 原稿入稿(手書き、フロッピー、USB、メールなど様々な形で入ってきます)

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2 組版・レイアウト(入ってきたデータや原稿を印刷物用にレイアウトします)

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3 印刷機に巻くための刷版を出します。
版下を撮影してフイルムに焼くという工程がなくなり、「データ → 刷版 → 印刷」に。PCから直接このピンク色の版を出せるようになりました。

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4 印刷→製本を経て出来上がり(報告書・俳句集・アルバム・自費出版・・・いろんな形の印刷物になります)


さて、ここからはホウユウの歴史を年代順に辿ってみましょう。2011年の方針・これからの展望についても語ってもらいました。


【1975年】
田中康允氏と田中範子氏が夫婦で堺市宿屋町に印刷会社を開業

夫妻は十数年の大阪市役所勤務を経て、邦悠株式会社(現ホウユウ株式会社)を開業します。


【1985年頃】
手作業であった組版の世界にコンピュータ(電子組版機)が登場

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今まで手動で打っていた和文タイプを自動化した電子組版機をモトヤというメーカーが発表した時「絶対アレ欲しい!!って言って(笑)」当時約1,000万円の機械を清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入します。

その記念すべき1号機は予想以上に手のかかるシロモノ。入力はコンピュータなのですが、出力に関してはかなりのアナログ。一畳分はあろうかという活字盤を手動で入れ換え、A4版1枚分をコンピューターがゆっくりゆっくりタイピングする時間は30分以上。
「夜中にカチャカチャ打ってる音が止まる。活字盤を明朝からゴシックに換えなあかんなと。・・・寝てられへん!!(笑)」


【1987年~】
田中康允氏没後、現社長が就任。現在地に移転し、社名を「ホウユウ株式会社」に変更

「女の下では働けん」と印刷機を扱う職人は全て退職。
それをきっかけに、印刷屋の心臓部でもある印刷機を放り出し、職人不要の組版専門会社に業態変更する決断をします。それに伴い、印刷は出来ても組版が弱い同業者が顧客のメインに。
学校を卒業した長女幸恵さんが制作に係ることになり、会社には劇的な変化が表れます。
「もちろん電子組版機を入れたのがとっかかりにはなっているけれど、あの子が来てからほんと電子化が進みました。」

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■田中幸恵さん

文系の幸恵さんでしたが、手当たり次第に講習会に参加するなどして努力を積み、ノウハウを習得。「若い人の頭がすごいなと思うのは、プログラムを組んで流せばいっぺんに出来上がる、という考え方ができること。」その後幸恵さんの要請でプログラマーが1名入社。

「そのプログラマーに幸恵が組版とはなんたるかを教えました。でも彼はデジタルの頭なので、文字の大きさやページの体裁といったことはどうでもいい、別に読めたらええやないかと言う。いやちゃうねん、印刷屋やからキレイに見せることをせえへんかったらうちらの仕事はないねん!と。」

彼のプログラミングのおかげで仕事の効率は飛躍的にアップします。「うちは人数が少ないけど、ものすごくたくさんの仕事を安く請けています。プログラムがなかったら?無理ですね。」
プログラミングはウィンドウズPCでおこなうのが主流。その流れでウィンドウズPCをメインに使うようになり「文字を扱う」という仕事の内容も大きく発展していきます。文字の入力に始まり、組版やデータベース作成、WEB企画・制作、PDFデータ作成、CD・DVD制作などなど。一口に「印刷」でくくれない、多種多様な仕事をこなすように。

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■制作室風景1
現在社員は13名。(制作9名、営業4名)


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■制作室風景2

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■休憩室
「今日もお仕事おつかれさま、今夜はお鍋よ♪」
・・・ちがいます!!
「お昼休みの1時間で、材料買って、切って、調理して。あの子らほんまマメやで」と社長。
3時になれば休憩室に集まって15分間のおやつタイム。全員デスクから離れておやつ?!・・・アットホームすぎます(笑)


【2005年~】
オンデマンド機(モノクロ・カラー)を導入

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オンデマンド機とは?
簡単に言えば、大きいレーザープリンターです。通常のプリンターと違うところはものすごく高速で精度の高い印刷ができること。通常の印刷機とは違い、インキを使わずトナーを使います。「オンデマンド」の意味は、もともとは少部数短納期のこと。この機械も少部数短納期のお仕事に向いています。

「(印刷単価の)高いカラーの印刷機(4色機とも言います)を持っているところの大半は、安いモノクロの仕事は受注したくないといいます。でも大学の研究論文などはまだまだモノクロが主流。モノクロ印刷ができるところを探すのに難儀するほど。また、4色機は1回にかかる材料費も高いので、なるべくいっぺんに沢山刷れる大ロットを喜ぶ傾向が強いのですが、必要もないのに沢山印刷するのってムダでしょう?」
つまりビジネスチャンス?
「うちが得意としているモノクロ文字ものと小ロット多品種の仕事が増えてくれればいいなと思っています。量が多くなったら外部の印刷ネットワークに回しますが、少ロットはぜったいオンデマンドの方が速くて安いから!」

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■オンデマンド機(出力中)→振動により紙を整える機械(通称ガタガタ君)→完成品(出荷待ち)
「ガタガタ君、可愛い~!!」と女性陣にモテモテの彼。ガタガタ君の相方は右隣りの紙さばき乾燥機『かみかわ君』。



【2011年~ これからのこと】
キャッチフレーズは「まちの印刷屋さん」

「この近辺で印刷屋さんといったらホウユウ、と一般の人に言ってもらえるようになりたいですね。」

価格競争が激化している昨今、同業者からの仕事を待っているだけではダメ。「自分とこが主体で直接お客さまから仕事をいただかないと。」そこで掲げたキャッチフレーズは「まちの印刷屋さん」。
「昨年から次女の友美が営業と"つーる・ど・堺"の両方で動いてくれています。」女性パワーの見せ所ですね。「でも私は商売が下手。よう儲けへん」社長は苦笑い。「制作に、もうちょっとここ手間をかけてあげてよって言ってしまう。社長、費用対効果ですよと怒られながらも(笑)。お客さまに、ホウユウやったら安心して仕事をまかせられると言っていただきたいから。」
35年の経験があっても「まだまだやってみないとわからないことが多い」と社長。
「うちはね、他社さんよりなんでも一足早く初めてのことを経験してきています。その分、失敗も多いけど。」その失敗をもとに、工夫して勉強して・・・その積み重ねが現在の自信につながっています。

景気の良し悪しに関わらず新しいことに挑戦し続ける、しなやかでたくましいホウユウ株式会社。これからも"つーる・ど・堺"ともども御愛顧のほどよろしくお願いいたします。

ホウユウ株式会社
大阪府堺市堺区海山町1-8-4
TEL. 072-227-8231
FAX. 072-224-1466






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